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『教えてもらう』という大切な体験

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ある時、事務の新人の子になぜ伝票を発行するのか尋ねたところ、「わからない」と答えられた。

コンビニでお買い物した時にレシートもらうよね?それのことだよ。と伝えると「なるほど!」と頷いてくれた。

じゃあ次に、その商品のお金はどうやってもらうのかな?と、請求書の話題までやり取りを交わしたところでハッとした。

この子は仕事の背景や目的を誰からも教わって来てない

ただ一年間ひたすらに伝票の打ち込みだけを機械的にやってきたのだと。

根も葉もない言葉

仕事の意義や目的を与えて、自主的に考えさせ、行動させるコーチングをあたりまえとして生きてきた自分は酷く肝を冷やした。

これではマズイと思い、さっそく先輩社員たちに新人の今の理解度を知ってもらい、危機感を共有した。すると、

「普通、仕事してたら自分で気になるもんでしょう」

という根も葉もない言葉がベテラン社員を中心に飛び出した。

無論、一人ではない。その発言に伴って重ねるように人間性や社会性を非難するような言葉が飛び交った。

まぁまぁ...ベテランは良しとしよう。そこは随分前から見限っている(ふぅ...)

期待していた若手からの違和感

しかしだ、期待していた若手の中堅社員からは妙に気負った並々ならぬプレッシャーを感じた。

その違和感の正体は『教えてもらう』ということを経験しなかったゆえに『教える』ことの正解も不正解もわからない自身に対する迷いだった。

『自分達はそうだった』という体験の連鎖が組織の風土として根付いた時、今回のような取り返しのつかない状況を生むのかと理解した。

これから成長していく若い世代に

そうなってしまった以上、どうしていくべきか。

教える側の人間に教え方を説くのは徒労に終わるだろう。であれば、これから成長していく若い世代に自分がどれだけ良い体験を提供できるかだ。

よし、それならばと話は戻り、さっそく仕事の背景や自分の働きが会社や顧客にどう貢献するのかを新人の子に丁寧に伝えてあげた。

その子は目をキラキラさせて、

「もっと責任を持って仕事に取り組めそうです!ありがとうございます。」

と感謝を告げてくれた。

純粋な眼差しとどこか報われたような安堵感に、自身の至らなさと申し訳無さを感じた。

こちらこそ、本当にありがとうね。