
子どもが生まれてからというもの、すっかり釣りに行く時間が減ってしまった。
特に、同僚との釣行となると、もう本当に貴重な機会だ。
思い返せば、以前は仕事の前にも後にも、同僚と一緒に海や川に立っていた。
うちの会社は"釣りバカ"の巣窟
私の会社は、釣り業界にどっぷり浸かった組織である。
日常業務のほとんどが釣りの経験と知識を必要とする。そして社員も、当然のように釣りバカ(褒め言葉)ばかり。
- 仕事前に釣り
- 仕事後に釣り
- 飲み会より釣り
- 打ち合わせも釣り
- 採用面接ですら釣り(笑)
これは冗談でもなんでもなく、本当にそんな会社なのだ。
出張先でも、社員旅行の宿でも、あわよくば釣りをしようと目論んでいる。いわば全員が"令和のハマちゃん"。
日常会話も9割が釣りの話。プライベートは…まぁ、誰も深く知らない(笑)
それでも上役としての気がかり
そんな中、上役としてはやっぱり社員の状況をちゃんと把握しておきたい。
健康状態やメンタル、家庭のことや悩みなども、さりげなく把握しておきたいのが本音だ。
でも、会社で正面切って話をしても、本音は出てこない。
だからこそ――社員との釣行は絶好の"情報共有の場"になる。
隣でわかり合えるもの
「横並びでキャストして、情報交換」――なんて意識高い話ではないけれど、ただ一緒に釣っているだけで、なんとなくわかり合える。
釣果が伸び悩んだタイミング、移動の道中、ふとした休憩時間。
そんな合間に、自然と仕事の話、プライベートの話が出てくる。
無理をせず、押しつけず、肩肘張らず。
釣りという空間が、すべての垣根を取り払ってくれる。

久しぶりの同僚釣行で気づいたこと
先日、久しぶりに同僚とアブコ(イナダ、ブリの幼魚)釣りに出かけた。
釣り好きは季節に合わせて釣りものを変えていく。この初夏の時期は小型の青物が稚魚を追って浜辺に接近してくるので、それをライトタックルと小型のトップルアーで釣る。
みんな同様の条件で少しだけ違うタックル構成、あとは巻き速度やアクション、レンジアプローチや緩急の付け方で釣果が変わる。
これを共有しながらあーでもないこーでもないとゆるく適当に釣りをするのが非常に面白い。
あらためて思ったのは、「同僚と横一線で釣りに興じる時間」というのは、思っていた以上に贅沢で、貴重な時間だったということ。
以前は当たり前のように並んでロッドを振っていた。でも今は、それがどれだけ恵まれたことだったか、心から感じる。

釣りというレジャーの可能性
普通の会社では、上司と部下が会話するだけで「ハラスメントだ」「詮索だ」などと壁が立ちはだかることもある。
でも釣りの場では、そんなものは関係ない。
- 目的が明確(魚を釣る)
- 並んでいても干渉しすぎない
- 会話が自然と生まれる
- 成果が共有できる
何よりも競い合うことを第一の目的としない自然相手の活動であることが、我々を寛大にする。
こんなレジャー、他にはない。
もっと釣りを広げたい
私は本気で思っている。
釣りこそ、社員コミュニケーションを円滑にする最強のツールだと。
うちの会社だけじゃない。もっといろんな会社で、釣りを"共通言語"として使ってほしい。
きっとそれは、堅苦しい研修や、意味のない飲み会よりも、ずっと人を近づけてくれる。

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